辻一弘(特殊メイクアップアーティスト)の経歴!映画や美術作品を紹介!

辻一弘と作品

第90回アカデミー賞授賞式(現地時間3月4日・

日本時間3月5日)が米ロサンゼルスのドルビー

・シアターで開催され、辻一弘さんがメイク・

ヘアスタイリング賞を初受賞しました!

 

作品は『ウィンストン・チャーチル/ヒトラー

から世界を救った男』

 

日本人が同部門を受賞するのはもちろんこれが

初めてです。

 

主演のゲイリー・オールドマンが「なしでは

チャーチル役を引き受けられない」と直々に

オファーしてきたとのこと。

 

ぜひとも辻一弘さんについて調べてみたくなりま

した。

辻一弘さんのプロフィール

本名  :辻 一弘(つじ かずひろ)

出身地 :京都府京都市

生年月日:1969年5月25日(48歳)

現在はロサンゼルス在住

 

小学生のときに「スター・ウォーズ」を見て映画

の世界に憧れ、龍谷大学付属平安高校在学中に

独学で特殊メークを身につけたそうです。

龍谷大学付属平安高校は中高一貫校なので、

中学も龍谷大学付属中学校かもしれません。

 

高校時代に、地元の洋書店で手に入れた映画雑誌

で、俳優ハル・ホルブルック(1925年2月17日-93

歳)がディック・スミス( 1922年6月26日 – 2014年

7月30日)による特殊メイクでリンカーン大統領

そっくりに演じる様子が紹介されているのを見て、

メイクを志しました。

 

ディック・スミスは映画「ゴッドファーザー」など

のメークで知られています。

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リンカーン大統領

 

自分の顔にリンカーンのメイクを施し、雑誌に

載っていたディックの住所に手紙を送ると、

「アメリカにも学校はないので独学でやるのが

よい」との返信が来たのだそうです。

 

高校の英語の先生に英文を添削してもらって、スミスさんとは月に1通か2通、7カ月ぐらいやり取りしたでしょうか。

いまのようにメールなどない時代ですから、必死に手紙を書きましたね。

自分の作品も見てもらい、アドバイスもいただいた。

ついでに英語の成績も上がりました。

 

その後、スミス氏が日本のホラー映画の特殊メイク

を手がけるために来日。

さんはスミス氏から直々に誘われ、スタッフの

一員として初めてプロの現場を体験しました。

とても光栄でしたけど、当時はガチガチで、ディックさんと何を話したかも全然覚えていない

 

高校卒業後、江川悦子の工房で邦画『スウィート

ーム』(黒沢清監督「八月の狂詩曲(ラプソ

ディー)」(黒澤明監督)などのメイクに携わっ

たりしていました。

 

 

キャリアを積みながら、本場、ハリウッドに行く

を夢見ていましたが、就労ビザが取れませんでし

た。

当時のアメリカで特殊メイクの人間を雇う会社は

なかったのです。

 

予算も時間も限られる日本の映画界では特殊メイ

クの仕事は少なく、大作にも巡り合えません。

それでも30本近い作品を手がけ、アニメ学校の

特殊メイク科で講師も務めました。

 

そのうち人生を無駄にしているという焦りと、

夢も叶えていないのに講師をすることへの疑問

がつきまとい、仕事を始めて8年目、「もう行く

しかない」と決意。

 

特殊メークの本場、米ハリウッドで学びたいと、

ディック・スミスに手紙を書いて弟子入りを志願

したそうです。

 

すると奇跡のように、ちょうど『メン・イン・ブラ

ック』の撮影で、特殊メイクができる人間を探して

いたところでした!

ビザを用意するからいつでも来い

という言葉に、すぐ渡米。

1996年、このとき27歳。

 

渡米後はスミスの弟子に当たるリック・ベイカー

の工房「シノベーションスタジオ」でがむしゃら

に働きました。

 

そして、『メン・イン・ブラック』と、同年に手が

けた『バットマン&ロビン』の2作品で腕が認められ

たのです。

 

『PLANET OF THE APES//猿の惑星』などに携わ

り、2000年には『グリンチ』リック・ベイカー

らと共に英国アカデミー賞メイクアップ&ヘアー賞

を受賞。

 

2006年のアメリカ映画『もしも昨日が選べたら』

特殊メイクを担当し、第79回アカデミー賞でビル・

コルソと共にメイクアップ賞にノミネートされまし

たが、受賞には至りませんでした。

 

『マッド・ファット・ワイフ』リック・ベイカー

と共に2年連続で 第80回アカデミー賞・メイクアッ

プ賞にノミネートされるもまた授賞はならず。

 

このことについて、さんはインタビューで

どうでもいいようなコメディでしたね(笑)。

ああいうのだと、ノミネートされても、投票する人は本気で取らないんですよ。

だからいろいろと、今回(『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』での受賞はよかったですね。

と答えています。

 

経歴

1988 – 1996

  • メイクアップディメンションズ社のメイクアップアーティスト
  • プロジェクトスーパーバイザー

 

【日本映画およびテレビ番組】

  • “ミンボーの女”
  • “8月の狂詩曲”
  • その他 16本の日本映画およびテレビ番組

 

 

代々木アニメーション学院の主任講師

 

1996 – 2003

リック・ベイカー氏のCinovation Studios, Incにてメイクアップデザイナー、プロジェクトスーパーバイザー

  • “ザ・カースト”
  • “ヘルボーイ”
  • “ホーンテッドマンション”
  • “ザ・リング”
  • “メン・イン・ブラック”
  • “猿の惑星”
    2002年 Local 706 Union賞受賞
    2002年 イギリスアカデミー賞ノミネート
  • “グリンチ”(グリンチ役 ジム・キャリーのメイクアップアーティスト)
    2001年 イギリスアカデミー賞受賞
    2001年 Local 706 Union賞受賞
  • “ナッティー・プロフェッサー2”
  • “ワイルド・ワイド・ウエスト”
  • “ライフ”
  • “猿人ジョー・ヤング”
  • “ディアボロス 悪魔の扉”
  • “シークレット 嵐の夜に”
  • “メン・イン・ブラック”
  • “バットマン&ロビン”
  • “クリティカル・ケアー”

 

2004 – 2008

リック・ベイカーCinovation Studios, Incにて  メイクアップデザイナー、プロジェクトスーパーバイザー

  • “ベンジャミン・バトン 数奇な人生”
  • “トロピックサンダー 史上最低の作戦”
  • “魔法にかけられて”
  • “もしも昨日が選べたら”
    2007年 アカデミー賞ノミネート
  • “リング2”
  • “マッド ファット ワイフ”
    2008年 アカデミー賞ノミネート

 

*2007年、KTS Effects, Inc. 社を創立しました。

肖像画、写真、彫刻の最先端のスタイルを開発

する研究所であり、主に肖像画家としての作品に

焦点を当て、他の想像力豊かなアーティストと

協力しながら美術作品を制作しています。

 

2009

  • “ソルト”(アンジェリーナ・ジョリーのメイクアップデザイナー)
  • “トランスフォーマー”(特殊メイクアップアーティスト)
  • “天使と悪魔”(特殊メイクアップアーティスト)

 

 

2010

  • “猿の惑星/ライズ・オブ・ザ・プラネット・オブ・ジ・エイプス”(エイプのデザイナー)
  • “トロン・レガシー” (特殊メイクアップアーティスト)

 

2011

  • “ヘミングウェイ・アンド・ゲルホーン”( ニコール・キッドマンのエイジングメイクアップ)
  • “ルーパー”(ジョセフ・ゴードン・レベットのメイクアップデザイナー)

 

映画界から引退

念願の本場での仕事に着いたのですが、さんは

文化の壁にぶち当たったそうです。

アメリカ人と一緒に仕事をするのは大変でした。

日本人みたいな気遣いはないし、個人社会なので、そこでどうやって生きていくか、最初のころは悩みました。

仕事の姿勢というか、毎日同じことを繰り返していれば楽なんです。

でもそこから一方、踏み出さないと進歩していかない。

最初は半分けんかというか、激しいディスカッションでしたね。

でもリックさんも人一倍努力する人で、一緒になって雰囲気を変えていこうとしてくれました

 

しかも映画で来る仕事はコメディーやSFばかり

で、重厚でシリアスな作品になかなか巡り合えま

せんでした。

ディック・スミスさんが亡くなる前、老人ホームに入っているところを訪ねたことがあった。

進路に迷っていると話すと、あれだけすばらしい経歴を持っている人でも、やっぱり後悔が多かったと言うんです。

僕もそのころ、ほとんど生きている心地がなく、充実感が得られなかった。

今変えないとどうしようもないと思って、映画の仕事をやめて芸術の方向に行こうと決めました。

 

特殊メイクの世界に憧れて日本を飛び出し、

「アカデミー賞にもっとも近い日本人」と言われ

ながらも2012年には映画界を去りました。

 

やめた理由のひとつには、何人かのわがままな役者

と仕事をしたこともあったそうです。

 

そういう役者さんは、周りの人々の扱いが酷くて、

「こんな役者さんのためにどうして自分は一生懸命

やっているんだろう」と感じ始めたそう。

それで映画の仕事自体に魅力を感じなくなっていっ

たこともあるそうなんです

 

その後は現代美術の分野に転向し、2013年に

アンディ・ウォーホルの壮年期・晩年の2倍サイズ

の頭像を制作。

ニューヨークの美術展に出品しています。

 

映画やドラマの仕事は、人から言われてやる仕事でしょう。

それに不満を抱くようになったのでやめたんです。

受賞よりも、自分で作りたいものを作って評価されるほうが、喜びははるかに大きいし価値もあるんですよ。

依頼による仕事ではないぶん、“産みの苦しみ”はいままでより大きいけど、その苦しみがすべて自分だけのもの、という感覚は、映画の仕事では味わえませんでした。

 

さんの、特殊メイクの技術を応用したリアルな

胸像は、見る者を驚愕させ、作品の買い手も増え

ているそうです。

自分の後に続く人たちについて

さんは年に一度、日本でも特殊メイクに関する

ワークショップを開いていますが、日本の若者た

ちに接して思うのは「熱意の無さ」

なりたいものや、やりたいことは、みんなそれなりにあるし、口では言うんです。

いまは情報社会だけに、知識も持っている。

でも、それを実際の努力に結び付けていないという感じがします。

 

教えるということに、疑問を感じているので

しょうか?

極論を言えば、自分の話を聞きに学校に来ている時点でダメかもしれないですよね。

本当に海外で仕事がしたいと思っているなら、自分なりの方法を見つけてすでに飛び出しているはず。

目標と熱意があって、なおかつ言葉や思考より先に行動しちゃうような人でないと、

海外ではつぶされてしまう可能性が大きいと思います。

 

「単にそれが好き」なのか、それとも

「好きで好きでしょうがない」のか。

熱意というのはそこに潜んでいるもの。

単に好きなだけの場合は、どこかに所属して、人に使われる身で終わる可能性が高い。

好きで好きでしょうがない場合は、体が勝手に動いて、自分に最適な居場所を見つける行動に出ているような気がします。

 

リック・ベイカー氏はさんについて、

カズヒロは僕と同じレベルの仕事をするのではなく、僕よりすごいことをやってみせる。

僕より上手く仕上げてくれるなら、やってもらったほうがいいよ(笑)。

それに、彼は、僕と同じで、仕事への情熱を持っている。

僕も彼も、お金のためじゃなく、好きだからやっているんだ。

夜遅くなった時に最後まで残っているのは、いつだって僕らの車。

納得がいくまで、どんなに時間がかかってもやりたいからさ。

カズヒロこそ、この業界の将来をになう人間だ。

と大絶賛していたそうです。

さんの経歴を見れば、「なるほど」と頷かざるを

えません。

 

ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017)

 

ナチス・ドイツが勢力を拡げる第二次世界大戦下

で侵略の危機が迫るイギリスが舞台。

 

チャーチルの首相就任から「ダンケルクの戦い」

までの“歴史を変えた27日間”を、和平か徹底抗戦

かという難しい判断を迫られたチャーチルの苦悩

や葛藤を描いたドラマです。

 

さんとゲイリー・オールドマンが最初に会った

のは、『PLANET OF THE APES 猿の惑星』

(2001)

 

最初はゲイリーさんが出ることになっていて、

リックベイカーの工房まで顔型を取りに来たそ

うです。

 

結局出ないことになったものの、2002年にさん

が作ったディック・スミスのポートレートを見に

来て、一緒に仕事をしたいと思っていたようです。

 

更に2012年ごろ、さんの仕事を追ったドキュメ

ンタリー(『Dream Out Loud(日本未公開)』)

のナレーションをつけたことがあるゲイリーさん

「辻さんがメークを引き受けなければ、この映画

作らない」とメールをくれたそうです。

大いに悩みました。

もう映画には戻らないと決心してやめたのに、自分の人生を裏切る感じになってしまう。

でもこういう仕事は人生で1回あるかないかの機会だと思って、引き受けることにしました。

 

日本でとても人気のあるゲイリー・オールドマン

さんですが、この話を聞いたら、ますますファン

が増えそうですね!

 

こうしてさんらメーキャップのチームは、顔の

毛細血管の一本ずつまで毎回同じになるように

毎日およそ3時間半かかって再現し、ゲイリーさん

カズ(辻さん)以外にやれる人はいなかった。

彼はピカソのような人。彼に近づける人はいない

と言わしめたのです。

 

オールドマンさんは、全く似ていないチャーチル

に見事になりきり、

イギリス人の観客も受け入れてくれたし、チャーチルのお孫さんも納得されたと聞いた。

保証書がついたという感じでしょうか

さんは胸をなで下ろしたそうです。

 

この作品は、2月24日に発表された米アーティスト

組合賞や英国アカデミー賞でもメイクアップ&ヘア

賞を受賞。

 

ついに第90回アカデミー賞で、メイク・ヘアスタイ

リング賞を受賞したのです!

高校時代からのさんの夢が、本当に叶った瞬間

ではないでしょうか。

僕は2012年から映画業界を辞めてファインアートに行っていたんですけど、もともと特殊メイクに興味を持ったきっかけは、ディック・スミスがやったリンカーン大統領のメイクだったんです。

それについての記事を読んだ時に、これをやりたいと思って。

つまりずっと、キャラクターメイクというか、人に似せたりとか、そういうのをやりたかったのに、なかなかそういう機会がなくて、コメディやSFなんかが多かったんですよ。

これは僕がずっと一番やりたかった仕事の内容だし、1週間ほど悩んだんですが、結局、やることにしたんです。

さんは

私をこの仕事に呼び戻してくれた、ゲイリーに感謝します。

長年このような作品を手がけたいと思っていました

とおっしゃっています。

ゲイリー・オールドマンさんも

私の素晴らしいメイクアップチーム、カズヒロ、デイヴ、ルーシー、イバナに感謝します。

(英国アカデミー賞受賞時のコメント)

とメイクアップチームを賛辞しています

 

さて、今後の活動はどうされるんでしょうか?

もちろん(ファインアートに)専念しますけど、もし、デザインだけとか、そういう仕事がきたら、取るつもりではいます。

特殊メイクの工程が好きですから。

そのお金をファインアートの方に回せますしね。

僕のやっていることってお金がかかるんですよ。

ギリギリでやるのも辛いですし。

 

実は既に映画の依頼が舞い込んでいるそうです。

知り合いの監督から、どうしてもちょっと手伝ってくれと言われたりしている。

現場には行かへんで、とは言っているんですけどね。

これからも、さんが関わった映画を観ることが

できそうです。

ペンギンハイウェイのあらすじや意味は?物語の舞台はどこ? 

まとめ

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を

救った男」は、3月、日本全国ロードショー。

 

この春、さんとゲイリーオールドマンが作り上げ

チャーチルを観に、映画館へ行くのもいいですね!

 

それにしても、辻一弘さんの仕事への執念は凄い!

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